喪中の正月の過ごし方(真言宗の場合) 旅行やNGなことは?
2019年も残すところあとわずかですね。
賑やかなお正月を迎えるための準備に忙しくされている方も多いことでしょう。
その一方で、ご身内と悲しいお別れを経験され、いつもより寂しいお正月を迎えられる方もいらっしゃると思います。
明治7年に公布された「服忌令(ぶっきれい)」では、実親や夫が亡くなった場合は13カ月間、養父母の場合は5カ月間、妻や兄弟の場合だと3カ月間を忌服期間(今でいう喪中期間)と定めていますが、現代では亡くなった日から四十九日間が忌中期間、1年間が喪中期間と捉えられているところが多いようです。
では喪中期間内に迎えるお正月はどのように過ごせばよいのでしょうか。
今回は仏教の一派である「真言宗」の喪中正月の過ごし方についてご紹介します。
真言宗の喪中正月の過ごし方
まず喪中正月の過ごし方を考える前に「我が家は仏教だけど、真言宗かどうかは分からない」という方もいらっしゃると思いますので、簡単に真言宗の特徴をまとめてみました。
真言宗とは空海(弘法大使)によって開かれた仏教の宗派のひとつであり、「真言陀羅尼(しんごんだらに)宗」「秘密宗」「曼荼羅(まんだら)宗」ともいわれています。
お仏壇は3~4段になっており、最上段の中央に大日如来、向かって右側に弘法大使、左側には不動明王が並べられています。
そしてお仏壇に供えるお線香は3本です。
お経は「南無阿弥陀仏」でも「南無妙法蓮華経」でもなく「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」になります。
どうですか?
思い当たるものがありましたか?
では本題である「真言宗の喪中正月の過ごし方」についてお話ししたいと思います。
少し前までは
- 笑いや音楽を慎む
- お酒や肉を断つ
- 結婚式には出席しない(自身も婚姻を避ける)
- 初詣(神社)には行かない
- 外出を避け、家で静かに過ごす
といった風習があり、「喪中期間は静かに故人を偲ぶ」といった傾向にありました。
しかし、最近では、「故人は、身内が寂しいお正月を過ごすことを望んでいない」「通常通り楽しいお正月を過ごしても良い」という考え方に変わりつつあります。
とはいえ、遺族はそういった心境になれない方が多いのも事実。
どういうお正月を過ごすのか、それは遺族にゆだねられるものになっているようです。
喪中の年賀状はOK?やってはいけないこととは
現在は「楽しいお正月を過ごしても良い」という考え方になりつつありますが、それでも慎みたい行動はいくつかあるもの。
例えば
- しめ縄や門松など、お正月の飾りものは避ける
- 鏡餅は飾らない
- おせち料理やお屠蘇は控える
- 年始の挨拶まわり
など、「慶事」を連想させることは慎みましょう。
また、年賀状も控えるのがよいとされています。
12月上旬に喪中はがき(年始の挨拶欠礼の案内)を出し、年賀状を失礼することを先方にお伝えしましょう。
故人と交流があった方々へ送付するのもお忘れなく。
また、神社への初詣も控えるようにしましょう。
初詣でなくとも、喪中期間は神社の鳥居をくぐるのはNGとされています。
もちろん「鳥居をくぐらないなら入ってもいい」ということではありません。
神社には結界が張られているといわれており、その結界内に入る入り口が鳥居になります。
ですので鳥居をくぐらずに神社の境内に入ることは“入り口ではないところから侵入する”のと同じこと。
とても行儀が悪いことになりますので、絶対にやめてくださいね。
鳥居をくぐるのは(神社の境内に入ることは)四十九日を過ぎた五十日目以降にしましょう。
ご自宅に神棚がある場合、お正月に限らず喪中期間は神棚を触らないようにします。
神棚には白い紙を貼り(神棚封じといいます)、お参りも中断します。神棚を開けるのは四十九日を過ぎてからにしましょう。
喪中にお中元やお歳暮は贈ってもいいの?
真言宗に限らず、ほとんどの宗教で喪中の御中元やお歳暮のやり取りを禁じてはいません。
お中元やお歳暮は感謝の意を表すものです。
喪中だから遠慮するのではなく、これまで通りのお付き合いをされてくださいね。
喪中に旅行に行っても大丈夫?
「喪中期間は旅行やレジャーを避けるべき」と言われていますが、前述のように「喪中でも普通に過ごしても良い」という考え方が一般的になってきています。
だからといってハイテンションで旅行やレジャーに行くのはいかがなものでしょう。
ここはあくまでも、喪中のお正月であることを忘れず、故人との思い出の場所や故人が好きだった場所への旅行程度にされておいたほうがよいのでしょう。
まとめ
「服忌令(ぶっきれい)」が出されていた明治時代は、慎ましいお正月を過ごすことが強制されていましたが、現在は時代が変わり、昔ながらの風習は失われつつあります。
しかし故人を偲ぶ気持ちは昔も今も変わらないもの。
静かに過ごすのか、故人を思いながらも賑やかに過ごすのか、故人はどう過ごしたら喜んでもらえるのか思いをよせてみられてはいかがでしょうか。